Public Interest Incorporated Foundation Association of Tsumago Lovers

設立趣意書 | 公益財団法人 妻籠を愛する会

タイトル01

設立趣意書

 文化財保存の重要性は申すまでもなく、長い歳月をかけて築き上げられてきた妻籠宿の町並みは、過去と現在をつなぎ未来への発展の足がかかりを与えるもので、きわめて重要な存在意義を有する国民的財産である。

 しかし、進展し続ける現代社会の中にあって、ややもすれば破壊損傷を被る危険性が強いのが現状であり、一度破壊されるならばその復原は不可能に等しいと言える。

 これらの保存については、国・県等において多くの関係法令を制定し保存対策が講じられているが、ただこれらの施策に依存するものでなく、住民が自らの手で保護し、正しく利用しながら後世に継承することが必要である。

 妻籠宿の保存は、南木曽町の要請により、昭和43年に長野県の明治百年記念事業として採り上げられて以来、町が主体となって、妻籠宿保存地区保存条例(昭和48年南木曽町条例第18号)を制定し、保存事業を進めてきた。次いで昭和50年の文化財保護法の改正に伴って、翌51年には、わが国で第1号の重要伝統的建造物群保存地区の選定を受け、今日に至った。

  一方、地域の全住民で組織された「妻籠を愛する会」は、昭和43年に発足し、その後、住民の総意によって制定した「妻籠宿を守る住民憲章」を実践しつつ、行政と一体となった保存運動を行なってきた。

この活動も、年々範囲が広がるとともに費用も増加をきたし、また、今までのように精神面を主とした活動だけでは、個人の経済的理由による緊急事態から生じる文化財の破壊もしくはその恐れを打開する手立てはなく、行政側でもまた同様である。

  妻籠の住民あるいは妻籠宿の保存に深い関心を寄せる有志は、この現状を憂慮し、南木曽町当局とも相諮って、ここに財団法人妻籠宿保存財団(平成2年11月22日に財団法人妻籠を愛する会と名称を変更)を設立し、妻籠宿の恒久的保存に対処する所存である。

  本財団は、このような国民的使命を果たすため、長野県教育委員会をはじめ関係諸機関及び同様の目的を持つ関係諸団体と連絡をとり、その協力をいただき、保存対象の取得・管理あるいは助成を行なうとともに、さらに文化財保存と自然環境保護の実践に努め埋もれた文化財の調査、保護対策の研究を進めるなど、総合的かつ強力な活動を展開して、妻籠宿のもつ文化的価値を高め、また、これらを広く一般に公開し、もって国民生活の向上に寄与する所存である。

昭和57年12月24日

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